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風俗ってそもそも違法(売春)なの?「グレーゾーン」や「自由恋愛云々」の嘘

前回の記事について、はてなブックマークを見る限り「風俗は違法だから確定申告出来ない」的に理解した方が多々見受けられます。


実際に性風俗については「国は性風俗(売春)を認めていないため、風俗(ソープ)は表向きは偶然同じ部屋にいた男女が自由恋愛で性交に至っただけとされてる」という俗説があり、故に違法でも合法でもない「グレーゾーン」と説明する方が多いです。


しかし「グレーゾーン」にも関わらず性風俗産業従事者が度々警察から摘発されてニュースになったり、警察24時で警察の風俗店突入の様子が流れてたりしてます。
これについて「警察は風俗を黙認しているものの、見せしめのため半ばアリバイ工作的に風俗店を摘発してる」とも説明されますが、これには法律と判例上の嘘と「売春」という言葉の多面性からくる誤解があります。
まず最初にそもそも…

 

国は性風俗について法律で規定し、職業として認めてる

風俗嬢は風営法で国から認められた職業です。
別にそれ自体には如何なる違法性も存在しません。
具体的には「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律 第二条」により


・ヘルス嬢…個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務
・ソープ嬢…浴場業(公衆浴場法 (昭和二十三年法律第百三十九号)第一条第一項 に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務
・デリヘル嬢…人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務


と「性的好奇心」の文字から分かる通り、風俗嬢はそういう性的なサービスを行う者として国から定義づけられています。
性風俗店及び、風俗嬢の存在自体は「グレーゾーン」でも何でもないのです。

また風俗…特にソープの仕組みは「表向きは偶然同じ部屋にいた男女が自由恋愛で性交に至っただけとされてる」…故に売春にならないのだ!と説明されることが多いですが、

「自由恋愛云々」は何の根拠もないどころか…

最高裁にて否定されています。

 この判例を高裁判決も含めてかみ砕いて説明すると「(ソープが)性交を金銭を介して行う場所であることは事実上明らかである。故に自由恋愛だから本当に性交するか分からなかった、などという言い訳は通用せず、被告人が売春の手助けをした事は否定しようがない」と言うことです。


ここで風営法によるソープ嬢の定義をもう一度見てみます。

 

・浴場業(公衆浴場法 (昭和二十三年法律第百三十九号)第一条第一項 に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務


つまりソープ嬢は「客に対して接触することは許されても、性交することは許されていない」という扱いです。

故にソープ及びソープ嬢は、存在自体は適法ですが「自由恋愛という名目であれ性交すること自体」は許されておらず、そこで性交が行われれば売春防止法違反となります。


ではソープは表向きはどういう扱いかということについては、2013年5月27日における橋本徹氏の「飛田新地」に対する言説を参考にして下さい。

 

記者「名称は『料理組合』かも知れないが、飛田は、お店の2階に上がってお金を払えば買春できることは、大阪のちょっとませた中学生なら誰でも知っている。中学生が聞いて、『橋下さん、うそついてはるわ!』と思うような詭弁(きべん)を弄してひとりの政治家として恥ずかしくないのか」
橋本徹違法なことがあれば、捜査機関が行って逮捕されます。以上です

 

違法なこと(性交=売春)が行われてる証拠があれば、警察は表向きが自由恋愛であろうと摘発出来ますし、実際にしています。


じゃあその気になれば、全ソープを摘発出来るんじゃないか?ということになりますが、売春が行われていることの立証条件には「実際に性交が行われている」「店がそういう状況を作成、もしくは認知したうえで放置している」「金銭の介在がある」の3点がありますので、わりと立件に要する時間が長いようです。


逆にこの3点さえ満たせばヘルス嬢は勿論、交際クラブやキャバクラも摘発出来ますし、実際にそのような判例があります。


またここでは「売春」を売春防止法の定義における「膣に陰茎を挿入する行為」として説明していますが、「売春」にはもう一つ性風俗産業で問題となる「職業安定法」で定義される意味があります。

 

「売春」の定義は「売春防止法」と「職業安定法」で異なる

少し前にAV制作会社マークスの社長が「労働者派遣法違反容疑」で逮捕されました。
労働者派遣法には


第五十八条
公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で労働者派遣をした者は、一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。


とする条文があり、またこの条文は「職業安定法」による


第六十三条  次の各号のいずれかに該当する者は、これを一年以上十年以下の懲役又は二十万円以上三百万円以下の罰金に処する。
二  公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で、職業紹介、労働者の募集若しくは労働者の供給を行つた者又はこれらに従事した者


から来ています。


性風俗産業が「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務」にあたるかについては、既に幾つも判例があり「口淫などの性交類似行為は売春と同義であり公衆道徳上有害な業務」と結論づけられています。
これによりAV女優を撮影現場に派遣する行為や、女をヘルス等に紹介するスカウトは「(職業安定法上の)売春させた」扱いとなり、ニュース等でもそのように書かれるというわけです。


ここがヤヤコシイのですが、「口淫などの性交類似行為」はあくまで「職業安定法上は売春と同様の有害業務」とされているのであり、当然売春防止法上のソレとは違いますし、「口淫などの性交類似行為」自体は風営法により「異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務」として認められています。

 

グレーゾーンや自由恋愛なる風説が蔓延する背景

このように性風俗産業において違法と合法の線引きは明確にされています。

ざっくりまとめれば、


性的サービスはOK、ちゃんと職業として認めるよ。でも膣に陰茎を挿れさせるサービスは売春になるからダメ、自由恋愛とか関係ない。あと性風俗産業への紹介はダメ。例え膣に陰茎は挿れなくても、性的サービス自体は有害業務だから

 

と言うことになります。


それなのに何故「性風俗産業はグレーゾーン」「風俗(ソープ)は自由恋愛」等の言説がまかり通っているかと言えば「現在の性風俗産業は様々な違法行為のうえに成り立っているから」ということに尽きます。


例えば、税法について前回の記事で取り上げましたが風俗店及び風俗嬢の殆どは脱税してますし、上記のように「売春」はソープのみならずヘルス等でも行われていますし、繁華街には「職業安定法上は売春と同様の有害業務」を紹介してくるスカウトがワラワラいます。


こうした違法行為に手を染めてる方々に「きちんと遵法意識を持て!」と言ったら、性風俗産業は途端に崩壊してしまいます。
ソープでは膣に陰茎を挿れることが出来なくなり、ヘルスの裏オプは無くなり、風俗嬢の確定申告により店の脱税情況が丸裸になり、スカウトは全員刑務所行きです。


こうした違法行為の上に成り立ってるからこそ、性風俗産業は「我々のやってることはグレーゾーン。だから店はスカウト使っていいし、風俗嬢は売春してもいいし税金払わなくてもいい。グレーゾンだから警察も国税も黙認してるんだよ…時々見せしめで摘発してくるけど」と説明するしかないのです。


現在の性風俗産業の歪さは、こうした性風俗産業従事者の「無知」を前提に触法行為をさせるという構造にあります。
何故、こうした構造を是正しないのかと言いますと、単純に上の方が「ソッチのほうが好き勝手出来るし、儲かるから」という理由に尽きます。


現在の性風俗産業は「法律や制度は整備されているのに、それを守らない」という状態であり、そもそも産業として成り立ってない状況であり、それ故に「グレーゾーン」と言い続けなければならないのです。

 

別に私は性風俗産業そのものを否定したいわけではありません。

しかし、客観的に見て「性風俗産業はクリーンだから、困ったら働きにおいでよ」とはとても言えない程に性風俗産業は産業構造そのものが超絶ブラックであり、そこが是正されない限り従事者が幸せになれることはまずないと思っています。